躾教室 その5

叱る必要がないように環境を整える
連れて来られたばかりの犬はまだ新しい群れ(=飼い主家族)になじんでいません。その段階で強く叱ったりすれば,家族から教育を受けたとは考えず,ただ恐怖感でいっぱいになってしまいます。可愛さのあまり家の中で自由にさせておいて,好ましくない場所に排泄したからと言って叱る,物をかじったからと言って叱る,などというのは,しつけとしての効果が薄いばかりでなく,飼い主との関係を築く上でもマイナスになります。
好奇心の強い子犬はあらゆることを試してみるものです。何でもできる環境にしておけば,いつもあれもダメこれもダメと叱っていることになりますが,子犬にとって同時にいくつもの禁止事項を覚えることは困難です。叱った時に行動が止まったからと言って,本当にいけないことの意味を覚えたとは限りません。何度も同じことを繰り返すようなら意味が分かっていない証拠であり,そのうち叱られることに鈍感になってしまいます。それよりも叱る必要がないように,普段犬がいる場所は何をされても困らないように環境を整えて下さい。徐々に自由にできる範囲を広げてやり,一度にひとつずつ禁止事項を教えて行く方が効果的です。「失敗しない状況を作って成功の積み重ねで褒めながら教えて行く」というのが,すべてのしつけやトレーニングの基本です。(これって、大事ですよね)