躾教室 その13

叩いたり蹴ったりしない
叱る際に、原則として体罰は反対です。「猟犬は気が強いから、なめられないように力ずくでしつけなくてはいけない」という人がいますが、これは全くの間違いです。陽気なはしゃぎ性の犬に対してはある程度の体罰でテンションを下げることも必要かもしれません。しかし,気の強い犬に対してより強い力で屈伏させながら言うことを聞かせる、という考え方は犬に対して「力こそが上下関係」と教えていることになります。
こういう育て方をされていると、普段は従順なようでいて突然反抗したり主人には従っても家族の中の弱い者を攻撃したりする危険が高くなります。また、臆病で噛む犬に対して体罰を与えた場合、人間の手に対する恐怖心を増幅させてしまい、近づく人間を片端から噛むような犬にしてしまいます。
仮に体罰方針で表面上問題なくしつけられたとしても、いつ叩かれるのかとびくびくしながら行動を抑制する卑屈な犬になってしまいます。(こういうしつけ方をされている犬は、そばで手を上げただけで首をすくめて目をしばたたかせるのですぐ分かります。じつは、先代犬はこのタイプだった)
躾の本の中には体にダメージを与えずに体罰を与えるためとして、新聞紙を丸めたものを作って叩きなさいとか、犬の体のこの部分を叩きなさい、などと図示しているものがありますが、「ダメージを与えない程度の体罰」という中途半端なやり方は遊びと勘違いするし、飼主の手を嫌う原因にもなります。これでは、しつけというより飼主と犬との闘争になってしまい、信頼関係による良い主従関係は作れません。
「人の手は心地よさを与えてくれるもの」という感覚を崩すようなことはしない方がよいのかもしれません。